先日フィリピン人妻の弟の結婚式があったため、
親族として正装(バロン)での出席を求められました。
バロンと言えば、個人的には漫画『島耕作』内でフィリピンに赴任していた樫村がバロンにやみつきになるというエピソードが思い出されます。
なかなか着る機会がなかったのですが、
今回義理の弟の結婚式という絶好のタイミングでしたのでとても嬉しかったです。
私は10年程フィリピンに住んでいて初のバロンだったので、
そもそもバロンって何?というあたりから、実際に着用してみての感想までまとめてみたいと思います。
バロンタガログとは
フィリピン男性の正装。結婚式やパーティーなどフォーマルな場で着用する場合が多いです。
(女性用のバロンもあるそうですが、ほとんど見かけません。オフィス用のバロンもあり、よくビル入口のガードマンが着用してたりします。)
名前は ‘Baro ng Tagalog’ (dress of the Tagalog)=「タガログ族のドレス」が語源。
一見ただのYシャツに見えなくもないですが、シャツとは異なり表面に綺麗な刺繍が施されているのが特徴です。また、ジャケットなどは必要なくバロン自体で完結します。
下はスラックスを履きますが、Yシャツのようにバロンの裾をスラックスに入れる必要もありません。
バロンタガログの歴史
バロンの歴史はスペイン人によるフィリピンの植民地支配と結びついています。
元々、スペイン統治時代、フィリピン人が服の下に武器を隠させないようにするためスケスケの服を強制的に着用させられていたのがバロンの始まりだそうです。
同時にそれがスペイン人と支配階級を明確に区別するシンボルになっていたらしいですが、
フィリピンが独立してからは、徐々にフィリピン文化に浸透しフィリピン国民の服として根付いていきました。
バロンタガログの繊維の種類
正直全部同じなのかと思っていましたが、価格帯によって使われている繊維が違うようです。
以下、最もポピュラーな繊維の3種類です。
Organza(オーガンザ)
費用対効果抜群のバロン。シルクとポリエステルの組み合わせで低価格。
数回しか着ない人用向け。
Jusi(フーシ)
3種類の中では最もポピュラーかと思われるバロン。
シルクの一種でOrganzaより不透明で柔らかなタッチが特徴。
バロンにそこまでお金かけたくないけど、ある程度質を求める人向け。
私が買ったのもこれです(3700ペソ=約8000円)。
色も様々でポピュラーなベージュの他に青や黒のバロンも見かけますね。
Pinaよりも低価格なのでお手頃です。
Pina(ピーニャ)
最上級のバロン。パイナップルの葉から繊維を取り出し縫製します。職人の技術と西洋の伝統的刺繍の組み合わせで。作るのが大変らしく、高価格ですが、手触りが抜群によいようです。投資感覚で購入する富裕層もいて、価格帯は数百〜数千ドルに及ぶものもあるそうです。
Pina繊維を作る工程の様子がありましたので転載しておきます。
実際に着てみた感想
バロン自体はスケスケでやはり通気性がかなりよく、実際に着る際は、バロンの下に白の下着(Camisa de chino)を着用するのが一般的です。
そしてその決定的な特徴はその軽さ!
着ると驚きますが、着ているという感覚がないくらいめちゃくちゃ軽いです。
あまりに快適なので、普段着として着ていたいとも思いましたが、
あくまで礼装なので断念しました。
カジュアル・バロンとかあればいいのにな。。。
まとめ
バロンはこの蒸し暑い国に生まれた、正に気候にベストマッチな正装です。
単に風通しがよいだけでなく、洗練されたデザインがとても素敵です。
あまり着用する機会はないかもしれませんが、フィリピンにお住まいの方はー着持っておくと重宝するかもしれません。
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